第29回AMG内視鏡外科フォーラム レポート
第29回AMG内視鏡外科フォーラムを担当して
特別講演講師 嵩原 裕夫 先生
10月22日(土)15時よりNeedlescopic Surgeryというテーマで開催しました。第1部は3人のスペシャリストによるビデオワークショップという形になりました。モデレーターにNeedlescopic Surgery Meetingの前代表世話人の獨協医科大学越谷病院の多賀谷信美先生に加わっていただき、金平先生とともに司会を担当していただきました。
亀井文先生の若い女性のヘルニアに対するneedleを使用した素晴らしいテクニックを見せていただきました。臍を大事にしたポート挿入とneedleによって整容性に優れ、メッシュを用いないヘルニア手術を見せていただきました。特別講演の嵩原裕夫先生よりLPECの可能性についてのコメントもいただきました。石井正紀先生には自身の開発したエンドリリーフを用いたNeedlescopic Surgeryのたくさんのビデオを用いて、そのコツや有用性についてご発表いただきました。needleで先端だけを太くすることができるエンドリリーフは、needleとしての整容性を保ちつつ、細い先端による臓器損傷のリスクを回避できる素晴らしい器具であることを改めて再認識することができました。川嶋寛先生には食道閉鎖、肺切除、横隔膜ヘルニア、噴門形成、胆道拡張症、腎盂形成、鎖肛など小児外科の多岐にわたる手術における3mm鉗子を用いたビデオをご発表いただき、小児の脆弱な組織と狭い術野での細径鉗子の有用性についてお話をいただきました。金平先生から「国際的にもneedleの定義は3mm以下の鉗子である」というコメントをいただきましたので、小児外科の手術の多くがNeedlescopic Surgeryに当たることを確認することができました。
特別講演はかりゆし会沖縄ハートライフ病院ヘルニアセンター長の嵩原裕夫先生に日本オリジナルのLPEC法開発の経緯から、現在小児でのヘルニア標準術式になるまでの普及の経過をお話しいただきました。さらには「異物を腹腔内に残さず体に優しい手術としてのLPEC法」の成人への応用とそのための術式の発展や工夫についてお話をいただきました。最近の超高齢者へのLPEC法の適応拡大プロジェクトについてもお話をいただき、これからのデータの蓄積によりまた新しい知見が生まれる予感がするご講演でした。参加者もLPEC法のさらなる成人領域への発展に興味がもたれたのではないかと思います。
全体を通して、needleは「先生ほんとに手術したんですか?」という金平先生のキャッチにあるような「整容性」を得ることができ「より低侵襲性で痛みが少ない」などの利点とともに「繊細な手術は繊細な鉗子で」という意味での細径への必然性がある反面、先端の鋭さゆえの侵襲性もあり、エンドリリーフのような方法が考案されていることにその欠点克服への外科医の順応性の高さを感じることもできました。Needlescopic Surgeryの今後の発展の可能性を垣間見ることができたのではないかと思います。今回のフォーラムを通して各施設においてneedleの有用性が再認識されさらに発展するきっかけになってくれれば幸いです。
最後に私の至らぬところに多大なるご支援をいただきました金平先生、協賛のエムシーメディカル株式会社、さらには準備から開催までお世話になりっぱなしでしたAMG協議会の皆様、お忙しい中お時間をとって参加していただきました皆様に厚く御礼を申し上げます。
当番世話人
小室 広昭(上尾中央総合病院)
第29回AMG内視鏡外科フォーラムを開催するにあたり、多くの方々から協力をいただきました。
また、AMG関連病院に施設会員になっていただき、年会費を納めていただきました。
ご理解とご協力ありがとうございました。
心より感謝申し上げます。
【顧問】
- 坂本 嗣郎(彩の国東大宮メディカルセンター)
【代表世話人】
- 金平 永二(メディカルトピア草加病院)
【世話人】
- 朝蔭 直樹(津田沼中央総合病院)
- 石井 正紀(笛吹中央病院)
- 井原 厚(浅草病院)
- 梅本 淳(東大宮総合病院)
- 榎本 雅之(桜ヶ丘中央病院)
- 小野里 航(上尾中央総合病院)
- 河村 裕(津田沼中央総合病院)
- 小室 広昭(上尾中央総合病院)
- 諏訪 達志(柏厚生総合病院 )
- 長澤 重直(吉川中央総合病院)
- 西山 徹(笛吹中央病院)
- 峯田 章(上尾中央総合病院)
- 若林 剛(上尾中央総合病院)
【運営委員】
- 猪瀬 悟史(柏厚生総合病院)
- 亀井 文(メディカルトピア草加病院)
- 小島 成浩(彩の国東大宮メディカルセンター)
- 佐々木 純一(津田沼中央総合病院)
- 杉木孝章(吉川中央総合病院)
- 谷田 孝(メディカルトピア草加病院)
- 本多 正幸(彩の国東大宮メディカルセンター)
※福山市民病院出向中
(以上敬称略、50音順)
お問い合わせ: アミーサ事務局 中島里史 amesa@amg.or.jp